Wednesday, November 18, 2009

10日目

85歳の元気なおばあさんが新しく入居してきた。快活でよく喋る。いつから入院したのか、自宅はどこか、結婚しているのか、この薬は何か・・と根掘り葉掘り聞いてまわるので、静かなフェアリールームの雰囲気が一転。全員から話を聞きだし、荷物の整理をしてしまうと、ベッドの上で大きな声で「はー。退屈だねえ」と言っている。おばあさんのかつらをかぶった志村けんみたいだ。

お風呂のあとに別室でドライヤーをかけていると、鼻歌さんがため息をつきながら寄ってきた。「わたしはああいうのが、だめなの。ほうっておいてほしいの。ご飯を食べようが残そうが、いつ食べ終わろうが、人の勝手じゃないの。ああいう年寄りだけにはなりたくないわよねえ」と、74歳になる鼻歌さんの大いなる憂鬱を聞きながら手を動かす。

話はいつの間にか、鼻歌さんが自宅に押し入った泥棒を捕まえた話になり、若い頃劇団に入っていた話になり、そしてまた入ったばかりの志村さんの話に戻り、もう一回泥棒の話が始まったところで、ドライヤー終了。

わたしと一緒にしぶしぶ部屋に戻った鼻歌さんが、カーテンをしゃーっと引いて、ほうっておいてちょうだいモードを出すも、志村さんはお構いなし。看護師さんに食事の量を確認されると、「鼻歌さんがぜーんぶ食べちゃったから、自分も負けずに食べようと思ったんだけどさ、あんな量食べられるわけないわ」などと言う。

それでも夜になると、志村さんも少し落ち着いて、静かになった。いつのもように鼻歌さんの鼻歌がカーテンの向うからちょっとだけ聞こえた。

担当の先生がふらっとやってきて、昨日の血液検査の結果、副作用として懸念される肝機能障害については今のところ問題ないと言われる。お薬が効いているかどうかは別の検査で測るらしい。気管支結核の場合は気管支の出口が狭くなってしまう可能性があるらしいけれど、これは仕方が無いのだとか。