初めての朝。少し院内の様子にもなれてきた。歩き回ってみると、Bエリアのエントランスの奥に別のドアで区切られている病棟があることが分かった。看護師さんの話では、ここはICUエリアで、特に重症の患者さんや徘徊をする人などが入るとのことだった。
結核菌は薬への耐性がつきやすく、途中で薬を飲まなくなったりすると薬が効かなくなり、重症化する場合がある。さらに世界では「すべての抗菌剤が効かない広範囲薬剤耐性の結核菌」というのも見つかっていて、非常にオソロシイ状況を引き起こしかねない。
このため、薬の内服に対する管理は厳しく、病院では対面内服療法(DOT)という看護師さんの目の前で薬を服用する方法をとっている。ちなみにDOT(S)とは「Directly Observed Treatment, Short-course」という、1993年にWHOが「結核の非常事態宣言」に基づき新戦略として掲げた総合的な結核対策のひとつだ。
そういうわけで、看護師さんに一挙一動を監視されながら、現在服用しているのは、リファンピシン(150mg4カプセル)、エサンブトール(250mg4錠)、イスコチン(100mg3錠)、ピラマイド(1.5g1袋)と、副作用を軽減するためのピドキサールというビタミン剤の5種類。各自に投薬手帳が支給され、これに内服状況が記録されていく。
今日は保健所の人も尋ねてきて、1時間以上かけて、発病から現在までに至る経過と、その間の人々との接触状況を大変細かくヒアリングされた。結核に感染したかどうかは血液検査をすれば分かるとのことで、これから保健所内で会議が開かれ、誰に検査を受けてもらうかを決定するそうだ。
ただし、検査を受けることができるのは、保健所かわたしが入院している病院のどちらかに限定され、最後の接触から10週間以上が過ぎてからになるという。